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院長の月刊コラム(3月)新型コロナウィルス

生活習慣病と向き合うためには、習慣改善を始める動機付けにも効果的な継続の為にも、正しい知識を持つ事が必要です。生活習慣病を専門とするクリニックとして、『院長からの月刊コラム』という形で我々が必要と考える情報をまとまった形で発信することにしました。その第一回として、新型コロナウィルス(COVID-19)を取り上げてみました。感染症ではありますが、予防の意識を持って正しい習慣を継続するという点では、広い意味で生活習慣病の一部であると考えています。刻々と状況は変わるため3月3日現在という但し書き付きですが、情報の確認としてお役にたてば幸いです。

〜特徴は肺炎を起こしやすいこと〜

ウィルスについて、一般論から始めます。下の図をご覧ください。ウィルスとは、遺伝子が殻に包まれただけの存在です。自力で増えることは出来ません。細菌や多細胞生物の細胞に"吸着"して自分の遺伝子を細胞内に"侵入"させて、細胞にウィルスを作らせることで"増殖"します。これがウィルス感染です。この一連の過程でウィルスにとって最も大切なことは、細胞への吸着です。細胞に吸着するため、各ウィルスは特有のスパイク蛋白を持っています。また細胞の方も、その種類によって表面に様々な突起が出ています。感染は、ウィルス側のスパイク蛋白が細胞表面の突起と特異的に結合することから始まります。そのため、ヒトの細胞に吸着できないスパイク蛋白しか持たないウィルスは、ヒトには感染しません。今までのコロナウィルスやインフルエンザウィルスは、ヒトの上気道(鼻やノド)粘膜の細胞にしか感染できませんでした。しかし変異したCOVID-19はヒトのACE2という突起に引っ掛かるので、下気道(気管支や肺)細胞にも感染するようになりました。つまり長引けば、誰でも肺炎になる危険性があるわけです。

ウィルス感染.pdf

〜空気感染は認められていない〜

ウィルスは、空中や水中や地中に存在します。最も厄介なのは、空中に漂うウィルスによる空気感染です。空中に漂うと、遠くまで広がるしマスクも無効です。麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)は空気感染なので、封じ込めには予防接種が必要です。今までに確認されているCOVID-19の感染経路は、飛沫(咳とクシャミ)と接触(手で触り粘膜から侵入)のみです。エアロゾル感染(空気感染と飛沫感染の中間)の可能性は指摘されていますが、医療現場など特殊な状況での話です。空気感染をしないのなら、予防を頑張る値打ちは充分にあります。

〜感染から身を守るために〜

肺炎になってしまうと影響は全身に広がるため、高齢や持病により一気に死亡率が高まります。しかし肺炎にさえ至らなければ、病原性自体は強くないようです。中国からは、死亡率は高齢者を含めても2%ほどで軽症例も多いという統計結果が発表されました。肺炎に至るか否かは、侵入するウィルス量とヒトの抵抗力で決まります。侵入したウィルス量が少なければ、感染が肺まで拡大する前に免疫獲得が可能になります。ウィルス量を減らすには、人混みを避ける事と換気に加えて以下の3点が重要です。

 1.鼻まで覆うマスク:飛沫は鼻からも侵入します。なるべく密閉させて鼻を覆ってください。

 2.丁寧な手洗い:できれば石鹸を使いましょう。丁寧に洗う目安になるからです。

 3.まめなウガイ:手洗いと同じです。外から帰ったら、必ずウガイをする習慣をつけましょう。

〜まとめ〜

今年の冬はCOVID-19の影響で感染予防の意識が高まったため、同じ飛沫感染のインフルエンザは激減しています。あとは、抵抗力を高めるだけです。疲れをためず、充分な睡眠時間を確保してください。全く新しい感染症なので、簡易な診断法や治療薬はありません。まだまだ分からない事も多く、ひょっとすると再燃を繰り返す珍しいウィルスなのかもしれません。常に最新の情報をチェックし、なおかつデマに騙されないよう注意しながら、この危機を乗り切っていきましょう。最後に、COVID-19感染の悪化しやすい持病に糖尿病が含まれています。しかし血糖コントロールさえ良ければ、糖尿病のない人とリスクは全く変わらないと考えて大丈夫です。

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