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第1回 新コーナー『1型糖尿病に学ぶ』開設のお知らせ

 令和2年6月11日で、当院は開設1周年を迎えました。それを機に、院長ブログの新コーナーとして『1型糖尿病に学ぶ』を始めます。1型糖尿病に関連するあらゆる情報を、正確で判りやすく発信したいと考えています。対象は、もちろん1型糖尿病をもつ方とその家族の方ですが、2型の方や糖尿病ではない方にも興味を持っていただける内容に出来ればと思っています。第1回は、私の1型糖尿病に対する思いと当院の現状についてです。

 私が1型糖尿病を学び直さなければと思ったのは、医師になって9年目に赴任した病院で患者のIさんに出会った事がきっかけでした。糖尿病専門医の試験には合格していましたが、小学生の時から1日4回インスリン注射を続ける日々が具体的にイメージ出来なかったからです。彼女の勧めで大山の小児糖尿病キャンプへ参加するようになり、私にとって1型糖尿病の恩師となる武田倬先生(当時は松江赤十字病院内科部長、後に鳥取県立中央病院長)に出会う事ができました。

 武田先生は「糖尿病ならば全て診る」という信念のもと、小児1型糖尿病から成人の2型糖尿病そして糖尿病性腎症による透析まで一手に引き受けて診療されていました。それだけでも圧倒されてしまうのに、加えて島根県に糖尿病療養指導のコメディカル育成組織を作り上げられたり、行政と連携して隠岐で糖尿病予防活動をされたりするなど、穏やかな表情に秘めた底知れぬ情熱に圧倒されました。あれから20年、武田先生を始めとするキャンプに携わる多くの先生方やコメディカルの方々、そして何よりキャンプで出会った1型糖尿病を持つたくさんの子供達に、学ばせていただきました。

 そして実は、もうかなり学べたかなと思っていたのですが、今回の開業で自身が1型糖尿病をもつ薬剤師のKさんがスタッフに加わり一緒に働くようになって、まだまだ判っていなかったと改めて思い知らされています。彼女とのやりとりも、今後このコーナーで紹介していく予定です。ちなみに彼女は「サンポート高松クリニック」のFacebookに随時コメントを載せていますから、興味のある方は併せてご覧ください。

 2018年に厚生労働省が行った調査で、1型糖尿病の日本人における有病率は0.1%前後でした。高松市の人口は約40万人ですから、市内に400人ほどおられる計算です。当院に通院されている1型糖尿病の方は、令和26月の時点で20人を超えました。年齢層は小学生から70歳すぎまで、進学・結婚・妊娠・転職など人生の転機を迎えている方もおられます。インスリンポンプを使われているのは4人で、残りの方はペン型注射器による頻回注射です。SAPの方は、今のところおられません。20歳を越えると公費負担が切れてしまう事と、SAPの機能がまだまだ発展途上である事とが普及の妨げになっています。SAPとはSensor Augmented Pumpの略で「血糖値センサーにより機能が強化されたポンプ」というような意味ですが、適当な日本語訳がないためか横文字の略号がそのまま使われています。インスリンポンプとSAPについては、いずれ詳しく解説します。

 かわりに当院では、1型の方ほぼ全員がフリースタイルリブレ(以後リブレと略します)で血糖値(厳密には間質液中のブドウ糖濃度)の持続測定をされています。「血糖値を点でなく線で捉えられる」「瞬時に血糖値が判る」「手技が簡単」「夜間の血糖変動が見える」「治療目標の範囲内に保てた時間(TIR:Time In Range)を算出できる」...細かい問題はありますが実用的にはメリットの方が圧倒的で、一度始めた方はもう手放せないと言われます。30年前には想像もできませんでしたが、いまや1型糖尿病で"HbA1c7%前後で維持"かつ"重症低血糖ナシ"は決して夢物語ではなくなりました。ここまで改善された事への貢献度にあえて順位をつけるとしたら、ダントツ1位がリブレです。2位以下は、超速効型インスリン・持効型インスリン...でしょうか。

 初回は、これくらいにしておきます。これからも疾患・薬剤・機器など役立つ情報が手に入り次第、その都度発信していきたいと考えています。どうぞ、ご期待ください。

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